四季報を読む

一週間が終わった。何の脈絡もないのだが、会社関係のことを書く。

 

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勤め先の会社がとある他の会社と合併して新会社となった。僕のキャリアの中では2回目のM&Aである。外資系のキャリアということを考えるとそう多いとも言えないけれど、まあよく変わるよなあと思う。元々大きな会社だったのだけど、これによってさらに図体が大きくなってしまって、これからますます業務が細分化していくことを考えると、あまり楽しそうな未来というのは想像がつかない。ヘルスケアの会社は給与水準も高いし、ワークライフバランスについても比較的優れているところが多いのだが、M&Aが非常に多いのが難である。これからもこの業界で仕事をしていくのであれば、同じようなことは今後の僕のキャリアの中でもまた必ず起こるだろう。今現在でもオプジーボの価格に政府から相当な値下げ圧力がかかっているけれど、薬価引き下げのプレッシャーは今後もますます強まるだろうし、それによって製薬会社は必然的にマージンを削られる。そうなると合従連衡、となるのは春秋戦国時代から変わらない、この世の常である。まあとりあえずは自分の持ち場を守って淡々とやるだけだけれど、長期的なプランもそろそろ見直さないといけないなあと思う。

 

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どうでもいいのだけれど(というかどうでもいいことを書くしか能がないのだが)、最近ちょっとした空き時間ができると『四季報』を読むようにしている。投資対象として会社を見るようになったということもあり、これが非常に面白い。財務畑の社会人としては若干恥ずかしいのだが、例えば、しまむらの財務体質が超健全であることや、文教堂の収益がデスロード化していることについて、僕はこれまであまり興味が持てなかったし、知識もなかった。その点、自分の世界を広げてくれたという点で、株式投資を始めたことは、それ自体自分にとって非常に大きな財産になったと思う。

 

少し戻って、ここ数年における業種別の株価を見ると、B to C関連では百貨店・書店あたりの凋落が目立つ(当然取次も厳しい)。どちらもインターネットに相当のシェアを奪われているのは明白である。加えてふたつの業種に共通しているのは、①国際展開が困難、②イノベーションが極めて起きにくい、という2点でないかと思う。いきおい、業績は内需と余暇時間との対応関係にならざるを得ず、しかもそのどちらも上昇の兆しは見えない。厳しいようだが、おそらくはこれらの業種もあと5~10年の間にはほとんどがその姿を変えるか、市場からの退場を命ぜられるだろう。

 

ちなみに、会社の中期経営計画を見るのも面白い。たぶん自分がそれを作る側の仕事をしているからだろう。決算短信なんかに比べると、中期経営計画は会社のカラーがかなり鮮明に出ており、読み込むと「その会社がどれくらいしっかりしているか」というのがだいたいわかる。例えば、良いほうの例で、ここでは日揮を挙げたい。戦略、マクロ環境の分析、具体的なアクションがしっかりと記述されている。

 

http://app.fisco.jp/data/brand/1963/TDNET_PDF/140120160511484252.pdf

 

逆の例としては、日販を挙げよう。気の毒になってしまうほど何の具体性もない。10分くらいあれば僕でも書けそうである。

 

http://www.nippan.co.jp/corporate_profile/management_plan/#corpo_tyuuki

 

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週末は『塩狩峠』を読む予定。ちょっと読んだだけで、「ああ、女の人の文体だ」とわかる。なぜなのだろう。