台風がくる前に

暑さですっかりヘバってしまっているなかで、けっこうな仕事量を淡々とこなすという、あまりカラフルとは呼べない日々を過ごしていたら、もう7月も終わりである。台風の前のせいか、今日の夜はこの間までの暑さが嘘だったかのように快適である。というわけで、アイスコーヒーをちびちびと飲みながら、この一週間のことを簡単に記そうと思う。

 

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妻に誘われ、有楽町の某クラブにヨーロピアン・ジャズ・トリオを聴きに行く。生でジャズが聴けるのはずいぶんと久しぶりだったので、けっこう期待していたのだが、あまりジャズらしくない音楽であった。ディミニシュな響きがあまりしなかったので、どちらかといえばジャズ・フレイバーのあるイージーリスニングと言ったほうが近いのかもしれない。まあおそらくはそちらのほうがマーケットはあるだろうし、それもひとつの生存戦略なのだろうなと思った。とはいえ、最後の”Libertango”はなかなか聴かせたし、久しぶりにちょっと文化的な薫りのする場所に来られたことはうれしかった。

 

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久しぶりに読みたい本ができた(なんか「好きな人ができた」みたいである)。『文系大学教育は仕事の役に立つのか』というど真ん中ストレートなタイトルの本で、今度ナカニシヤ出版から出るようである。個人的には、そういう問いを立ててしまった時点でもう負け戦になっているような気がするのだが、まあそれはそれとして、ぜひ手にとってみたいなあと思う。執筆者を見ると、アカデミック・キャリアと学生の人ばかりで、それって説得力あるのかよ…とツッコミは入れたくなるのだが、いろいろ大人の事情があるのだろう。ちなみに、もし僕が本書のタイトルと同じ質問を受けたら、たぶんこんなふうに答えると思う。「役に立たないわけではないが、他の分野に比べると非常に分が悪く、回収期間(payback period)が長い。リスクとして、営利企業に向かない思想を持ってしまうおそれがある」。

 

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転職活動も気がつけばずいぶんと進んでいて、次は最終面接である。世界で一番厳しい面接をするという会社のひとつということで、正直ビビりまくっているのだが、悔いのないようにやりきりたいなあと思う。驚いたのが回数で、45分のセッションを4回行うとのこと。受けるほうも大変だが、きっと主催者側も大変だろう。とにかく悔いの残らないよう、この週末しっかり準備をして臨みたいと思う。

 

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というわけでこれから面接の準備。36にもなって、夜中にブツブツと独り言でリーダーシップについて語っているとは思わなかった。そういうことを考えると、「リーダーシップは脱構築可能か」とか思わず考えてしまうのだが(もちろん可能)、このあたりの考え方を自分の資産と呼べばいいのか、負債とするべきなのかはよくわからない。人文学とはその性質から言って、必然的にパルマコン的なものでしかありえないのである(ムリヤリ着地)。