雪のラスベガス

砂漠でも雪が降るのだな、と思った。聞いたところによると、ラスベガスという街を冬の結晶が彩るのは実に11年ぶりらしい。そういう稀有なタイミングに居合わせることができたのを幸運と呼ぶべきかどうかはよくわからないが、すくなくともそのせいで、欲望の街は前に来たときよりもいくぶんしおらしくなっているように感じられた。

 

今回は2日間のビジネス・カンファレンスに参加するのが主たる目的であった。だいたいのこの手のイベントがそうであるように、世界中から従業員が一か所に集まるので、人の数に酔ってしまい、あまり成果が得られないことが多い。今回もそれを危惧していたのだが、事前に会いたい人にコンタクトをとっていたため、我ながらなかなか生産的な2日間を過ごすことができた。会う人会う人皆きらびやかな経歴の人が多いのだが、ヒヤリングをするとオペレーションはかなり原始的・属人的に行っているようで、そのあたりも親近感が持てる。そうしたリレーションが作れたこと、アメリカ人の同僚ともストレスなく話せると確認できたことは今回の収穫だった。手前味噌ながら、20歳の頃に比べると、ずいぶん英語が話せるようになったのだなと思った。

 

しかし、もちろんポジティヴなことばかりではない。一日前は寝付けなかったので、魔が差してとある女性のfacebookをまじまじと見てしまい、余計に眠れなるという負のループに落ちた。我ながら本当にアホだなと思った。で、ラスベガスだというのにやはり「ルビーの指輪」を延々と聞いてしまう。村上春樹もどこかで書いていたが、世界のどこにいってもやはり自分という卑小な存在かららは逃げることができないのだなと思った。

 

☆☆☆

 

今日は束の間の休息で、サンフランシスコでちょっとした観光をして(久しぶりの美術館!)、友人とディナーをする予定。なんかちょっとfancyに聴こえる気もするが、成田空港についたら、まず吉野家行こうかなとか考えていることを考えていると、やはりそれも幻想なのだろうなという気がする。でも休みは休みだ。