摂理としての落日

先週はお盆ということもあって、海外関係の仕事以外は軒並みオペレーションが止まっており、いきおい非常にゆっくりとした一週間であった。昨年のお盆に、CEO Review用の資料作りでヒイヒイ言いながら仕事をしていたのが嘘のようである。さらに、明日からは自分の夏休みが5日間続くので、今月はほぼ半分休みのようなものである。とはいったものの、暑さとウィルスのせいで外に行くのも億劫なので、例によってほとんど自宅待機という、色気にも面白みにも乏しい一週間になりそうだ。考えてみると、社会人になってから、夏に一週間まとめて休めた年はこれまでなかったし、それらのささやかな休みはほぼ家族と過ごしていたので、自分でその中身をデザインできる――今年は制限が多いが――休みというのは、大学院生のとき以来なのである。もちろん家庭のオペレーションを回しながらなので時間的な制約はあるけれども、この神様からもらった時間を大切に使いたいと思う。

 

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先週日経で面白かった、EconomistによるGoogleに関する記事。ちょっと冒頭の原文を引用してみる。

 

It may be just 21 years old, but Google is in the midst of a mid-life crisis. As so often in such cases, all seems well on the surface 

 

記事の主旨としては、従来のエスタブリッシュメントを否定し、創造性に根差した企業文化を作り上げてきたGoogleも、組織の硬直化やマンネリの波には抗えなくなってきている、というような話である。これはこれで読ませる記事なのだが、それ以上に、この冒頭の主語をGoogleから自分に変えても違和感なく読めることに笑ってしまった(”HE MAY BE just 38 years old, but fightpoverty is in the midst of a mid-life crisis. As so often in such cases, all seems well on the surface”)。おそらくは、企業であれ個人であれ、成長の勢いに陰りが出始め、第2・第3の方向性を見定めなければならないときがあり、僕にとっては今の時期がそれにあたるということなのだろう。その意味では、いま繁栄の絶頂を謳歌しているように見えるアメリカの大手IT企業群も、その最良な時期はすでに過ぎてしまったのかもしれない。ローマ帝国であれ、平家であれ、ブルボン朝であれ、栄華を極めたものが衰退しなかった例など、歴史上にただの一つもないのだ。無論、それは個人のレベルでも同様である。

 

この困難な課題について、記事はこう締めくくられている。"Google’s best way forward is to follow the advice often given to victims of a mid-life crisis: slim down, decide what matters and follow the dream"――なんというか、とても他人事には思えない。

 

それにしても、久しぶりにEconomistの英語を読んだけれども、相変わらず知的かつ重厚で、普段仕事では満たされない部分の知的好奇心が刺激されるのを感じる。もう少し日常的に読むことができればよいのだが。

 

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来週は休みなので、できれば平日に一度くらいは更新したいところである。繰り返しになるが、ほぼ自宅待機で一週間休みというのは本当に妙なものだ。外の強烈な暑さとも相まって、ちょっとしたディストピアではないかという気さえする。