悲しみの金曜日

ニースでの無差別殺人のニュースで朝が始まる。僕が青春時代の一部を過ごした街だ。事件が起こった海沿いの道――当地では「プロム」と呼ばれている――は、往時の僕のジョギング・ルートだった。まだかの街にトラムが通っていなかったころの話である。一応、友人二人にはメールで安否確認したが、まだ返事は返ってきていない。いろいろな人のことを思い出したけれど、名前をどうしても思い出せない人、連絡手段がない人が多く、知っている人が皆無事でいてくれるかどうかはわからない。昔みたいにみな元気に”Je m’en fous”を悪態をついていてくれるといいのだけれど。

 

しかし、短絡的な感想ながら、近年のヨーロッパはテロが増えすぎてしまって、少なくとも僕が知っているヨーロッパはもう無くなってしまったのだな、という思いを強くしている。19世紀の栄華の残り火も痩せてしまって、債務超過国と移民が残ってしまったというのが、悲しいけれどもかの国々の現状だろう。数年前まで、30代はぜひ向こうで働きたいなあと考えていたけれど、現状を見ると、日本にいるという選択をしたのは、それなりに妥当な選択だったのかなあという気がする(当然そこには葛藤もあるが…)。

 

☆☆

 

月曜日から子ども二人が体調を崩して、結局妻と僕とが交互に仕事を休んで看病にあたる。僕の場合は、緊急措置としての自宅勤務ということで、業務を普段と同じペースで進めねばならなかったため、正直なかなかキツかった。会議も電話のみでの参加だと、どうしても細かい部分がわかりにくい。あげくの果てに、週の半ばからは風邪が僕にも移ってしまい、結局ここ3日間くらいずっとお腹の具合が思わしくなかった。これからもこういうことは起こるだろうし、そのたびに休みをとったり、自宅勤務をしたりするわけにもいかないので、やはり病時保育というオプションをきちんと備えておかなければなあと真剣に思った一週間だった(遅い)。

 

あとは、娘が小学校に行きはじめてからというもの、もらってくるプリントの数が盛大にインフレしているので、Scansnapで取り込んでまとめておくというプロセスをきちんと導入しなければなあと思っている。この3連休でがんばりたいところ。

 

☆☆☆

 

これから『ドルジェル伯の舞踏会』をゆっくり読んで寝る。20世紀最高峰のフランス小説だ。悲しみの革命記念日から一日明けて、僕の一日がフランスで始まり、フランスに終わってゆく。