猛烈に疲れたで候

金曜の夜、僕は猛烈に疲れていた。家に着いたとき、しばらく玄関でへたり込んでしまったくらいである。仕事の疲れ、夏の暑さ、家庭での雑事の諸々、そして精神的なプレッシャー…たぶんそういうものがいろいろ堆積していたのだと思う。ともあれ、珍しく家に帰ってから追加で仕事をする必要がなかったので、遅めの夕食をとりながら、今夜はなにをしようと思いを巡らせた。ジムのプールで泳ぐか、本屋にでも行ってFin Techの本でも読もうか…。ところが、あまりに疲れてしまっていたのか、どうにも足が外に向かない。一方で、頭だけは妙に冴えてしまって、すぐに眠る気にもなれないので、2時間ほどyoutubeでXの昔のコンサートやら、スト2のプレイ動画やら、レトロなものばかりを観ていた。さすがにこういうときは、前衛的な小説やら哲学書やらは読む気になれない。極度に疲れると10代の頃に身近にあったものを求めてしまうということなのだろうか。まったく違う文脈ながら、僕の周りの友人には高校・大学の同級生と結婚したというパターンが少なくないのだが、結局これも同じようなもので、最後には人は「そばにあると癒されるもの、あるいは、そばにあっても疲れないもの」に回帰していくのではないかという気がする。
 
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香港での結婚式、主催者から「家族と来るの?」と問い合わせがあったので、せっかくなので家族総出で行くことにする。ここでそういう質問が出てくるあたり、やはりヨーロッパで育った人だなあと思う。4人のパッケージ(飛行機+ホテル)を3泊4日で予約したところ、全部で13万円程度とかなり安い。原油の価格が安いということで、サーチャージを取られないというのがやはり大きいのだろう。子どもを連れて海外に行くのは初めてなので、若干手さぐりではあるけれど、僕にとっても彼女たちにとってもいい経験になると思うので、なかなか楽しみである。
 
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広島の友人と話す。たぶん4、5年ぶりくらい。大統領が来た話しだとか、カープが優勝して盛り上がっているだとか、奥さんが起業した(!)だとか、他愛のない話を15分程度。お互い言葉にはしないのだが、僕たちのどちらももう自由ではないのだなということが、どうしても会話の節々に出てしまって若干悲しくなる。「話せてうれしかったよ」、と友人。僕だってもちろんうれしい。だけど、そんな30分にも満たない他愛のない会話がうれしくなってしまいくらいに、たぶん僕たちはそういうパーソナルなものに飢えているのだ。それは、結婚という制度がもたらす必然的な帰結である。それはわかっているし、もちろんそれを理解した上で、僕はその制度に身を委ねている。それでもいつくもの疑問符が頭の中に生まれる――「これは正しいことなのだろうか?」。知るかよ、ともう一人の僕。その問いをなんとか自分の中に押しやって、僕はまた普段の生活に戻ってゆく。
 
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あと2日はとにかく体を休める。