バリウムを飲む

新年初出社の日は健康診断であった。当日の朝、クリニックから送られてきたキットを開けて冷や汗をかく。検査用の便を持ってくるようにとの指示があったからである。ところが、朝食を食べられないこともあって、その日に限ってお通じがない。仕方ないので、ミネラルウォーターをガブガブと飲んで腰フリダンスをして排便を促すのだが、待てど暮らせど天啓は来ない。出発時間が迫り、もはやこれまでかと思ったところで、便意を催す。かくしてめでたく、僕は自分の便の一部を指定されたキットに入れ、検診に向かった。

 

で、標準的なメニューをひととおり終えた後に、初めてのバリウムが始まる。と書くといかにも落ち着いた体験だったようだが、実際にはけっこう恐怖でおののいていた。味は思ったよりも不味くない。我ながら滑稽だったのは、飲み干した後の回転運動で、「おお、コレは大丈夫か」と何度か心の中で冷や汗をかいていた。とはいえ、全体としては想像していたよりも不快なものではなく、なかなか面白い体験であった。どちらかというと朝一のお通じ乞いのほうが精神的には辛かったような気がする。

 

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「すくすく子育て」で優木まおみを久しぶりに見たら、顔の険がすっかりなくなっていて驚いた。半年くらい前とぜんぜん違う。もう30代も半ばだと思うのだが、キラッキラしていて、健康的な色気にあふれている。妊娠中で幸せホルモンが出まくってるんだろうなあと思った。女の人は幸せが顔に出るっていうのは多分本当ではないかという気がする。じゃあ男の顔はどうなのかと聞かれたら、やっぱり経験だろうなあと思う。

 

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大学院時代の友人の就職が決まったということで、個人的にちょっとお祝いする(とはいってもランチだが)。哲学の分野において、35歳で正規のアカデミックポストを得られるといのは、かなりの僥倖である。めでたい。で、いつものとおり、昔の友人たちの近況を聞く…となると必ずとある女の人の話題になる。心臓がバクバクして泣きそうになる。救心でも飲んだほうがいいんじゃねえかと思うくらいである。まあそれはともかくとして、就職決定というのは喜ばしいことである。

 

それと若干関連した話で、別の友人のブログのようなものを見ていたら、最近撮影されたらしい、上記の彼女の写真があった。何気なく撮影された横顔のスナップショットなのだが、その顔には年月の重みと疲れが心なしか感じられた。月日は確実に流れているのだ。心の鈍い痛みはあまり感じなかった。ただ僕はそれを見て何もいえなかった。何を言っても不適切であるような気がした。

 

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というわけでエッセイをガリガリと書く。