マドリード

というわけでマドリードにやってきた。ヨーロッパに来るのは3年ぶり、スペインに来るのはなんと16年ぶりになる。気温は東京と同じくらいで過ごしやすく、天気はすこぶる良いのだが、やはり英語も仏語もあまり通じないのが少し難である。とはいえ、勉強する環境としては申し分ないところだろう。

 

今日は予定どおり一日フリーだったので、朝2km程度のランニングをした後に、持ち帰った仕事と明日の予習をして、ささやかに観光がてらの散歩をした。サラマンカからエル・レティーロ公園を通ってプラド美術館まで歩いたので、距離としてはちょっとしたものである。プラド美術館では20年来観たかった「ラス・メニーナス」をようやく観られて感無量だった。『言葉と物』をじゅうぶんに理解しているなどとはとても言えないけれど、かつて構造主義に魅せられた者の一人として、この絵を眼前に認めるのは、やはりなかなか感慨深いものがある。ただ、この美術館はルーブルと同じように古典作品が中心なので、いきおい宗教物が多く、一日で回ると胸焼けを起こすケースが多いのではないかと思う。

 

あと街を歩いて驚いたことのひとつに、アパルトマンの窓のところからスペイン国旗が吊り下げられていることが多いということがあった。おそらくカタルーニャ独立に対する反対運動の一環なのだろう。ナショナリズムというものには、中央集権的な暴力と気っても切れない関係にあるのだなと思わされる(ドイツは例外だろうが)。日本だと東京と沖縄の関係が典型的である。

 

その他、この街について感じたことは以下のとおり。

 

・喫煙率が高い。若い女性の喫煙率もかなり高いような気がする。タバコの宣伝に規制がかけられていないのだろうか?

・年配の人の比率が高い。この国も間違いなく高齢化の一途を辿っており、財政を圧迫しているのだろう。

・デパート・ブティックに人がぜんぜん入っていない。アパレル不況はもう世界的な潮流である。

・車の運転が荒い。イタリアも運転の荒い国だが、この国の人々も相当荒い。車線変更のタイミングなんかを見ていると、「マリカーかよ」とか突っ込みたくなってしまう。「運転したくない国」ランキングとか作ったらきっと上位に入るだろう。

 

だいたいそんなところである。

 

これからもう少し予習の続きをして、夜はフルタイム・プログラムに通っている友人と夕食をとる予定。21:00スタートというのがなんともスペインらしい。チック・コリアの同名曲を聴きながら夜を待つことにする。