摩天楼

久しぶりの出張でシカゴを訪れる。例によって別に心躍るようなものでもないのだが、個人的にフィット感を感じられる街だった。どことなくマドリッドにも似ていて、インテリジェンスを感じさせる街だ。宿もダウンタウンの真ん中あたりだったので、ちょっとした観光もできるかなと期待していたのだが、結局仕事とソーシャルで忙殺されてしまい、余剰と呼べるような時間はほとんどなかった。特にスーラの『グランド・ジャット島の日曜日の午後』はこの街でしか見られないということもあり、少しでもいいから足を運んでおきたいという思いがあったので、これはちょっと残念だった。音楽の観点でもとても重厚な歴史に彩られた街だが、そのあたりもまったく触れられず。高校生の頃の僕からすると信じられない話である。そうはいったものの、都会的で洗練された街並みを歩くだけでも、それなりの高揚感を感じることはできた。なんというか、とても冬の似合う街だ。街頭ではカナダグースを着ている人たちがよく目についた。

 

☆☆☆

 

帰りの飛行機ではジェニファー・ロペス主演の『セカンド・アクト』を観る。家族、学歴、ミドルエイジの葛藤などがバランスよく描かれておりなかなか楽しめた。あのジェニロペもこんなに陰影のある――庶民的ともいう――役を演じるようになったのだなあと思うと、時の流れというものを感じずにはいられないものがあった。なにしろ養子に出した娘に出会うというのがメインプロットのひとつである。ちなみに、ヴァネッサ・ハジェンズがその娘役だったのだが、この人のルックスは個人的にツボだった。彼女については、何年か前の写真リークスキャンダルの印象があったのだが、この映画でけっこうなファンになってしまった。

 

他に印象的だったのは、作品内でのMBAの描かれかた。主人公はウォートンのMBA卒(実際にはそうではないのだが)ということになっているのだが、やはりアメリカ人にとって、ウォートンブランドは「泣く子も黙る」という位置づけなのだろうなというのがよくわかった。他にも主人公の元上司がデュークのMBAだったりして、ああやはりここはMBAが、良くも悪くもけっこう幅を利かせているのだなあと思った。

 

しかしながら、やはり英語で映画を見ていると半分くらいしかわからず、毎回ながらがっくりとして、ぐったりと疲れてしまう。英語を勉強…というか、もっとinternalizeしなくてはダメだなあと改めて思った。ただ東京に住んでいるとそのレベルで鍛えるのはなかなか難しいのではとも思う。これはどの外国語にも言えることだろうけれど。