De-Tokyonization

あまりに疲れてしまったので、ちょっと郊外に足を延ばしたいと思い、厚木を訪れる。この街は、雪以外であれば僕が冬に求めるものがすべて楽しめる上に、都内から1時間程度でアクセスできるので、都会に疲れた人間の現実逃避にはもってこいの場所なのである。というわけで、ハウス栽培のいちごを頬張り、十割そばに舌鼓を打って、森林を散策し、さらに温泉に身を沈める。これらのうち、個人的に最近重要に思えるようになってきたのは、「森林の散策」で、実際にこれによって精神的な疲れはずいぶん緩和されたように思う。

 

年々僕は合理的な考え方をするようになってきているし――そういう意味ではネオリベ一味のレッテルを貼られても否定できない部分があるが――、職場と家の2kmくらいの間で生活の90%を済ませてしまう出不精者だが、一方で年々緑が恋しくなっているのは事実だ。波の音、森のにおい、鳥のさえずり――そんなに田舎とは言えないにせよ、まだ自然が残る地方都市で生まれ育ったのだ、そういうものが恋しくなるのも当然なのかもしれない。仕事での心理的なストレスが年々増加しているというのもあるだろう。あるいは、40という年齢を前にして、本当に自分が好きなものや求めるものが、自分自身でようやくわかりかけてきたということかもしれない。

 

自然――ルソーが彼の中に描いたそれと、僕の中のそれはどれくらいの距離があるのだろうか?久しぶりにテクストの中に自分を沈めてみたいけれども、そんな思いもむなしく、また明日が始まろうとしている。ピンク・フロイドの"Time"が響く。

 

☆☆☆

 

明日はまた日経平均がガタっと落ちるだろう。例年よりも暖かいと言われている2月だが、相場はここ数年では最も不安定である。ちょっと今の段階では、向こう3か月がどのようなものになるか、そして夏の祭典の東京の風景がどんなものになるか、まだ僕には想像がついていない。