分断の風景

相変わらず忙殺されっぱなしで10月も終わってしまった。来年のプランニング関連の業務がピークを迎えている時期であり、いきおい稼働も重い日が続いている。まあそれはそれ、これはこれということで、今思いついた2~3について、メモのようなものを残しておく。読者のほうを向いていないと言われれば、そうした批判は甘んじて受け入れるしかないのだが、過去に自分が書いてきたそれらの「メモ」群は、過去の自分を振り返ったり、考えを整理するのに一定の役割を果たしてきた。以下のメモもいつかそうなるのだろうか――それともインターネットという広大な宇宙に存在するデブリの一部になるのだろうか。

 

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すでに一か月近くが過ぎようとしているが、2020年10月はエディ・ヴァン・ヘイレンが彼岸に渡った月として、ロックンロールの――ハードロックの、と言ったほうが適切か――歴史に記録されるのだろう。ギターを弾くものの端くれとして、彼の訃報を見かけたときにはそれなりにショックを受けたから、僕よりもコアな人たちの悲しみは推して知るべし、といったところである。というわけで、この10月は中学生以来というくらいにVan Halenをよく聴いた。歴史に残るギタリストでありバンドだから、この期に及んでコメントするのも野暮でしかないのだが、本当にdistinctiveというのがぴったりの人たちだな、思った。中域の豊かなギター、抜けの良いスネア、巧みなコーラスワーク…。旧い友人と「いつかVan Halenを見に行こう」と言っていたけれど、それも叶わない約束になってしまった。ボンゾをなくしたZeppelin同様、エディをなくしたVan Halenももうかつてのそれではありえないからである。そういうわけで、一人部屋で”not enough”を聴いて追悼する。この曲の最後のコーラス、”love is only to share…”の部分を、僕はもうかれこれ25年間も口ずさみ続けている。そしてきっと、これからもずっと。

 

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またフランスはニースで痛ましい事故が伝えられた。19年前の僕が毎日その横を通っていた教会での3人の殺人である。2016年のテロのときもそうだったけれども、やはり過去に自分が影をを残した場所がこうして汚されていくのは耐え難い。フランスでは2週間前くらい前にも風刺画をめぐる諍いから教師が殺害されており、かの国における分断の問題の深刻さが、ここに来てまた浮き彫りになっている。時を同じくして、アメリカでも同種の問題が、例の”black lives matter“と大統領選を通してクローズアップされており、「フラット化する世界」と謳われていた10数年前からすると、隔世の感を感じざるを得ない。ビジネスの文脈でも、昨今しつこいくらいに多様性が強調されるけれども、それは他者に対するフォビアを根本的に拭い去ることができない、人間の醜さを隠すための方便なのではという気さえしてしまう。

 

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明日には39歳になる。あまり響きがセクシーではない年齢だな、と思う。年齢はやはり素数がいい。まあそれはそれとして、40代を迎える前の一年が、素晴らしい年でありますように。