40

気がついたら40の誕生日はあっという間に過ぎ去り、もう日曜の深夜になってしまった。2週間も新規ポストのないブログはあまりよろしくないので、また申し訳程度の記事を書いておく。

 

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そういうものだろうとは思っていたのだが、思った以上に40歳の誕生日はあっけないものであった。平日なのに妻が少し洒落た夕食を準備してくれたのがいつもと違うくらいで、あとは朝から晩まで計11の打合せをこなし(げんなり)、夕食後は深夜まで手元のワークをこなすという、特別感とか祝祭性には乏しい一日であった。子どもの誕生日だと、僕としても気合を入れてケーキやプレゼントを買ってきたり、彼女たちが喜ぶ料理を準備したりするのだが、言うまでもなく僕はもう人生のそういう時期にはいないし、世の中の多くのこと・ものについて、与える側になっているのだなというのは改めて実感した。とはいえ、何年も続けて個人的にメッセージをくれる友人の存在はありがたいものだなと思う。

 

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上記の非祝祭性の反動というわけでもないのだが、一応僕のお祝いのひとつとして、翌日はちょっとお高いホテルのランチブッフェに行く。なかなかよいお値段ではあるのだが、驚いたことに当該レストランは満席であった。みんな長く家にいただろうから、外に出て、非日常を味わいたかったのだろうなと想像する。ちなみに料理はもちろん美味しかったのだが、一定量以上を食べると効用が下がってしまうことがわかっているので、全体的に「美味しいものを少しずつ」という、一歩引いた感じのランチであった。それにしても、脂質コントロールをしている人間がランチブッフェに行くというのは、爪の先ほどの説得力もないなと思う。まあ人間なんてそんなものなのかもしれないけれど。

 

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人文系アカデミアがいろいろ騒がしい。すでにtwitterをはじめ各所でまとめられているのでここでは詳しく言及しないが、とある女性の文学者に対する中傷により、それなりに名の通った日本史研究者が内定済みのポストを取り消されたというのが事のあらましである。驚いたのが、僕と昔いろいろあった女の人が、この女性文学者の側の支援者に名を連ねていることであった。ここで起こっていること事態は当人同士の言い分もあるだろうから、僕がいちいちコメントをするようなものでもないけれど、僕からすれば一企業の勤め人が所属先を明らかにして政治的なアクションをとるというふるまい自体がちょっと信じられなかった。もし僕が同じことをしたら、まず社内で厳重注意を受けるのは間違いないだろうからだ。PRやらマーケやらがそういうガイドラインを設けていないのかもしれない。もうひとつ思ったのは、時間あるんだろうな、という点である。30-40歳前後で、フルタイムの仕事と家族を抱えていたら、だいたいは政治的なアクションに関わったりする時間もリソースもないものだからだ(例外はあるのかもしれないけれど)。例えば僕の場合は、良くも悪くも(あんまりよくない)、ここ10年ほど月月火水木金金がずっと続いているので、必要以上に他人のことを気にしたり、自分に対する罵詈雑言に心を痛めたりする時間も持ち合わせていないのである。

 

ともあれ、このいざこざを見て、そういう世界に早めに見切りをつけてよかったなと思った。一方で、一度は深くコミットした世界ということもあるので、複雑な思いがないこともない。本件がどのように決着するのかはそっと見守りたいと思う。