もっと光を

降り続く雨のためにエネルギーレベルが上がってこなかったためなのか、生産性の低い土曜日だった。何年か前に右派の政治家が「生産性のない者は無価値」のようなことを言ってちょっとした問題になっていたが、僕は日々自分に同じことを言い聞かせている。「あるんだよ、いっぱいある、できるのにやれてないことが」――そんな暮らしをもう20年以上も続けている。思えば哲学の勉強をメインにしていたときですら、自分にそんなルールを課していたのだ。二律背反もいいところである。

 

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暑くなってきたせいだろうか、また無性に胸の痛みを感じる時期に入った。どうも東アジア特有の高温多湿の時期になってくると、かつてあった透明性――結局そんなものはなかったのだが――が想起されてしまって辛い。そういうわけで、例によってブラームスと『言の葉の庭』のサントラを聴きながらこの駄文を書いている。今年は特にフランス語の学習時間を増やしているため、余計に連想してしまう要素が多いのだと思う。28になりたての僕に、何人もの友人が「すぐに楽になるよ」と励ましてくれたけれども、結局まだ治ってなどいないのである。そういえばあの頃はもっと友人に楽に会うことができていたな。何がそんなにも人と人とを遠ざけてしまうのだろう?

 

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7月より配置転換があり、僕はpeople managerから外れることになり、社長室?的な役割のポジションでいくつかのcountry initiativeを担当することになった。元上司からは「いい異動」とは言われているのだが、40という歳で人事管理から外れるというのが果たしていいのかどうなのか、僕としてはなんとも言いかねるところである。

 

まあそれはそれとして、仕事は相変わらずハードで、しばしば理不尽ではあるものの、働きやすさという点ではもうこれ以上求めようもないところまで来ている気がする。3~4あるオフィスのどこに通勤してもよく、もちろん自宅勤務でも問題ないなどという環境がこんなに早く実現するとは思っていなかった。朝起きて「今日はどのオフィスに行こう?」というチョイスができるのはなかなか贅沢だなと思う。

 

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明日は久しぶりに富士山に行く。天気が回復するとよいのだが――僕の心の中の天気も。