『ベートーヴェンの生涯』を読むの巻

あっという間に3連休のうちの2日間は過ぎていった。相変わらずシッター業だか、親業だかに忙殺されている。とはいっても、3日休みが続くというのはそれなりの安心感がある。1~3月の四半期が終わったところで一休み、といった感じだ。今年は祝日が土曜日になっていることが多く、いきおい3連休が少なくなっているので、有意義に時間を使わなければいけないなあと思う。なんだか小学生の夏休みの目標みたいな話だけれど。

 

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読んだ本。ロマン・ロランベートーヴェンの生涯』、片山敏彦訳、青空文庫

 

短い本(というかwebのフリーテキスト)で、30分もあれば読めるのだが、著者のベートーヴェンに対する愛着がこれでもかというほどに刻まれており、内容は濃い。著者はこれを書くにあたって、楽聖の音楽の素晴らしさに惹かれたというのはもちろんあるのだろうが、それ以上に彼の決して幸福とは言えない身の上に自分を重ねていたという部分が強いのではないかという気がする。本文中でも断っているとおり、本書は伝記的な事実を網羅するものではなく、断片的なエピソードからベートーヴェンの像を描き出していくというスタイルなのだが、その点、音楽家を通して自己を書き出そうという狙いが強いように感じられる。文学史的な観点では、『ジャン・クリストフ』の主人公はベートーヴェンをモデルにしているとよく論じられるけれども、この稀代の音楽家の像は、著者にとって自己を語る上での最良のモチーフだったのではないか。

 

ちなみにこの『ベートーヴェンの生涯』は名訳だと思う。たぶん原文も名文なのだろう。時間が許せば今度は仏語で読んでみたい。

 

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クラシックを好きになってよかったことのひとつは、まだ聴いていない曲、CDが死ぬほどあるということが絶望にも似た実感として感じられることである。もちろんジャズだってロックだってそういう曲は死ぬほどあるのだが、クラシックはまあバロックを端緒とした場合であっても、300年の蓄積があるわけだから、ちょっとケタが違う。一生かかっても全体像を把握するのは100%無理である。だいたい古典派だけに話を限ってみても、僕はハイドンをほとんど聴いたことがないし、その上、この大作曲家は交響曲を104も書いているのだから、もう正直めまいのするレベルである。まあ、登る山が多いというのは飽きがこなくていいんじゃないかと思う。

 

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これからアプリケーションの最終の詰めに入る。エッセイもようやく完成して、推薦状も2通揃ったのだが、レジュメの細かいところを直したり、self-assessmentのところを埋めたりという地味な作業が最後に残っているのである。おそらく一週間後にはアプライできるだろう。ここまで長かった…。なにしろ最初にビジネススクールに行こうと思ってからすでに8年くらい経過しているのだから。日々の雑事に忙殺されながらも、8年も同じところを見続けてきたというのは、我ながらちょっとしたものだなあと思う。