2019

冬休みは少しゆっくり過ごすことができるかと思ったのけれど、結局日常に流されているばかりで、明日の初出社を迎えようとしている。ブログに書きたいことはいろいろあったものの、休息をとることと生活のリズムを変えることを優先していたために、ここまで全く書かないままになってしまった。というわけで、申し訳程度ではあるのだが、今考えていることを簡単に記しておこうと思う。

 

☆☆☆

 

あまり潤沢に時間がとれたわけではなかったけれど、次女が少しずつ制御できるようになってきたため、読書の時間は昨年の冬休みよりもかなり多くとることができた。以下に読んだ本を記しておく。例によって、出版社名・発行年は省略する。

 

・バーバラ・ミント『考える技術・書く技術』

・齋藤嘉則『新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術』

・齋藤嘉則『問題発見プロフェッショナル―「構想力と分析力」』

吉岡友治『シカゴ・スタイルに学ぶ論理的に考え、書く技術: 世界で通用する20の普遍的メソッド』

カズオ・イシグロ日の名残り

 

上記に加え、深海誠『言の葉の庭』を観た。

 

このリストを見てまず思うのは、仕事に関連した書籍が多いということである(上から4つはすべて仕事に絡んだもの)。実は上から3つはすべて過去に読んだものなのだが、問題解決や論理的の基本書であり、現在の仕事でそれらが重要であることから、再読することにした。曲がりなりにも10年以上のビジネス経験を経てきたからだろう、やはり新卒で読んだときとはずいぶん印象が変わった。

 

日の名残り』は、10年以上前から読みたいと思っていたのが、忙しさにかまけてずっと手にとることができていなかったものである。まずは何よりも、和訳の素晴らしさに感銘を受けた。外国文学にありがちなぎこちなさがほとんど残っていない訳文は、土屋氏の確かな力量を感じさせる。物語そのものも、歴史、社会、色恋、職業倫理と多くの重層性が含まれたもので、久しぶりに文学作品を読んだ気がした。その上で、本作を他の文学作品とを分かつ要素とはなにかと問われれば、やはり物語が後半に進むにしたがって色濃く表れてくる、執事の後悔ではないかと思う。信じていたもの、正しいと確信していたものが、臆病な自分を正当化する理由にすぎなかったこと、それがゆえに誰かを深く傷つけたこと…その鈍い――しかし持続する――痛みとその意味は僕もよくわかる。そういう意味では、37歳で読むにはとても適切な本と呼べるのかもしれない。

 

言の葉の庭』も昨年からずっと気になっていた作品である。もうこれはヒロインの女性に思い切り惹かれてしまった。僕が15歳で、あんなふうに魅力的な女性と雨の日に逢瀬を重ねたりしていたら、確実にMajiでKoiする5秒前だっただろう。相変わらず映像美も、言葉選びのセンスも冴えているのだが、本作では何よりも主人公がヒロインの足のサイズを測る場面があまりにエロティックで鼻血が出そうになってしまった。フロイトだったら、この作品を『グラディーヴァ』と並べて精神分析の対象としたのではないかという気がする。

 

☆☆☆

 

昨年の9月くらいからあまりブログを更新できてなかったことから、ここ3か月ほど月間pv数が1,000を下回っており、あまりよろしくない状態が続いている。今年はなんとか週一度更新の周期を守るようにして、読者の皆様に楽しんでいただきたいと思う。