灼熱を生きる

おそらくは、もともと苦手なエアコンを一気に浴びてしまったせいなのだろう、久しぶりにちょっとした夏風邪を引いてしまった。が、その日は終日重めのレビューが入っていたので出社せざるを得ず、なかなか厳しい一日を過ごすことになった。僕の働いている会社はとにかく会議中に読まなければいけない文章が多く、議論に入るまでの前段階までに相当量の頭のリソースが必要とされる。そんなこともあって、頭がボーっとした状態だと、文書の要点をつかむまでも時間がかかってしまい、有益な(=クリティカルな)フィードバックをするのが難しいのである。ここから得られる教訓のようなものはほとんどないのだが、強いていえば、「健康第一」、そして「健康状態は業務パフォーマンスに相当程度影響する」という、小学生でもわかりそうな話である。

 

☆☆☆

 

翌日も体調はいまいちだったのだが、昼間からチームビルディング(という名の飲み会)ということで、都内某所のグランピング施設を訪れる。都心からほど近い距離ながらも、見事にレイドバックな雰囲気であり、おそらくは20歳前後と思しき若者たちがパーティ(らしきもの)を楽しんでいた。こんなところで昼間から好きな女の子に膝枕とかしてもらったら最高だろうな、と思った。が、現実にはすでに僕は40歳を過ぎており、賃金労働者の宿命としてビールを飲まねばならない。ちなみに、前述のとおりロケーションとインフラはすこぶるよかったのだが、バーベキューというフォーマットもあり、料理はけっこうラフであった。

 

久しぶりにチーム内外のいろいろな人と話し、マイクパフォーマンスも行う。「いやあ、銭湯に行ったら間違って裸でフロントに出てしまいまして、、、云々」。体調が悪かろうがなんだろうがアグレッシブに攻められるのは、過度に内面化されたサラリーマン的規律のなせる業なのだろうか。かと思えば、「あの、実は困っていまして。妻が出ていってしまって」などと、村上春樹の小説のような実話の相談にも乗る。とはいっても、僕は幸いにしてそんな経験はないし、ビールも入っているので、ほとんど話を聞くだけである。正直、このエピソードのインパクトが強すぎて、途中からチームビルディングというよりは個人相談会みたいな様相を呈していた。

 

☆☆☆

 

小さい子どもを持つ宿命として、最近は近くの区民プールに足繁く通っている。多くのプールがそうであるように、そこではちょっと時代がかったポップスがよく流れているのだけれど、なんと急にThe Final Countdownが流れてきてニヤニヤしてしまった。いつから僕はハードロックという音楽に滑稽さを覚えるようになってしまったのだろう。いやでも幼児向けプールにThe Final Countdownはナシではないけれど、ネタではあるよね、というのは間主観的にけっこう賛意を得られると思うのだけれど、どうなのだろうか。そんなことを言うと、Crazy Trainはどうなのとかいう議論になって終わらない話になってしまうのだが。どうでもいいか。