深夜の半裸スクワット(時々ポルノ)

6月以来仕事が閑散期であり、いきおいなんとなくハリのない日々が続いている。4年近くも、火のついたダイナマイトをジャグリングし続けるということを続けていたために、マイルストーンがちょっと遠くに置かれるとなんだか物足りない気がしてしまうのである。一方で、世間的に見れば恵まれた環境にいるというのは間違いないので、この夏は黙って爪を砥ごうと思っている。もちろん次のチャンスを伺いつつも。

 

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ということで具体的に何をしているかというと、メインで英語・フランス語を学習しつつ、気分転換に筋トレをするという極めて地味な生活をしている。最近新しく導入した手法(というか媒体)は①幼児向け番組、②インタビュー素材のふたつで、どちらもひたすら観る→シャドウイング→使えそうな表現は全部Ankiに入れてストック・繰り返しという地味な作業を続けている。①の幼児向け番組は、日本で言えば「おかあさんといっしょ」とか、「しまじろう」みたいなものなのだが、どちらの言語でもけっこう聞いたことのない・わからないものがバンバン出てくるので、「僕は20年以上も何をやってたんだ(≒「なぜオレはあんなムダな時間を…」)という軽い絶望感を味わうのにぴったりである…というのは半分本気、半分冗談で、子供向け番組は家庭で使われる慣用表現が多いわりにスピードがそこまで早くないケースが多いので、リスニング・シャドウイングの素材としてはぴったりなのである。とはいえ、当然大人としての話し方も磨く必要があるので、②も併用する必要がある。幸い、今はyoutubeだけでも良質な素材が山のようにあるので、媒体に困るようなことはない。ちょっと脱線するが、同じような文脈でポルノビデオもけっこう練習に使えることがわかったのは最近の収穫であった。世の東西を問わず、いわゆる「素人モノ」のビデオは女の子のインタビューから始まるのが常なのだが、この自然なインタビューの中に、「ほーそう言うのか」というような表現だったり、いわゆる18禁の言葉が出てきたりするので、これはこれで勉強になるのである。そういうビデオを見ながら、辞書をせっせと引いている人というのは、この広い世界でもあまりいないのではないかという気がする。

 

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例年そうなのだが、この時期になると過去の辛かった記憶が毎日のようにフラッシュバックして辛くなる。暑さがなにかしらの感情のトリガーになるという現象自体は我ながら興味深いのだが、影響を受けるのが自分自身ということもあり、正直たまったものではない。未だにそれに対してどう対処するのが適切なのか、自分自身答えが出せていないのだが、とりあえずの慰めとして、僕は毎晩半裸でスクワットをしながら幼児向け番組(時々ポルノ)のシャドウイングをしている。何も知らない人が客観的に25時の僕の姿を見たら、半分ホラーに見えるんじゃないかと思う。どうでもいいのだが。

 

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今年の夏は語学をゴリゴリ掘る予定のため、あまり読書の時間はとれなそうなのだが、森有正『遥かなノートル・ダム』とAkira Mizubayashi, Une langue venue d’ailleursは読みたいなと思う。どちらも仏語という大きな山の、はるか高みにいる先達たちによって書かれたものだ。僕ももう人生の折り返しを過ぎたところだけれど、僕が関わっている複数の分野のそれぞれでの「仰ぎ見る存在」たちは、ともすると波が少なくなりがちな人生の晩夏から秋の始まりを、力強く生きていくための意思を与えてくれるような気がする。とにかく生きていくんだよ、と。