神無月も走る

また2週間経ってしまった。マトモに――だといいのだが――企業人として働きながら子どものあれやこれやに対応していると一週間くらいはあっという間に過ぎてしまう。だいたい20日くらいの3日が1週間に相当するくらいの時間間隔である。年齢的にはほぼ倍になっているので、たぶんそれに応じて内的時間の過ぎるスピードも加速しているのだろう。となると、後半生というのは、自分で意識的にギアを変えない限りは、なにかの後日談のようにあっという間に終わってしまうのではないか――そんなことを思う。ただ、それに対して、今の僕は特に恐怖を抱いてはいない。それが諦めなのか、退廃なのか、それとも成熟なのかは不明である。

 

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久しぶりにオフィスに行く。3月に原則自宅勤務になって以来の出社である。半年ぶりのオフィスは人もまばらで、まるで一度退社した会社にOBとして入ったような、不思議な感覚を覚えた。ほとんど毎日通っていた食堂もカフェももちろん閉まっていたのだが、無人のスペースの中、なぜか音楽だけは半年前と変わらず50年代のジャズが流れており、そのせいか現実の次元が歪んでいくような、奇妙な感覚を覚えた。一方で、ガラガラのオフィスの働き心地は最高で、特にプリンタが使い放題なのと、トリプルモニタで作業ができることが生産性に与えるインパクトが大きいことを改めて実感した。いまの流れだと、おそらく来年以降も自宅勤務がデフォルトになる可能性が高いと思うが、できれば週に一度くらいはオフィスに来て、自宅ではできない作業を集中的にするというサイクルがよいのではないかと思う。せっかく近くに住んでいるのだから、なおさらである。

 

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先日キャンプでご一緒した、娘の友人のお父様から、僕の勤めている会社を受けたいので、ぜひいろいろ教えてほしいと依頼があった。仕事の関係で会ったことのある人たちからそういうことを言われるのは時々あるのだが、まさかそんな身近なところか仕事関係の依頼があるとは思ってもいなかったので、これはなかなか驚いた。というわけで、人もまばらな雨の週末のカフェで、レジュメを持ってきてもらって(僕より年上だし、立派な経歴の人だった)、いくつか実践的なアドバイスをした。ビザスクなんかで見てみると、こういう個人指導に1時間1万円くらいとることも珍しくないので、手前味噌な話ながら、おそらく彼からすればずいぶん得だったのではないかと思う。しかし、本当に人と人というのはどこでつながっているか、どこでつながるかわからないものだなと思う。

 

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90年代にあったいくつかの出来事について書こうと思っていたのだが、今日は遅いのでまた次回。