真夏の三連休だというのに、信じられなくなってしまうほどに静かな日々が続いている。食事、子どものケア、仕事、読書、インターネットを延々繰り返すという、なんとも波の少ない日々である。特にインターネットをダラダラと見てしまうのは本当に無駄の最たるものなのだが、なかなか完全にやめることができないのは、僕という人間の弱さゆえなのだろうか。一応幽霊アカウントを残してあるfacebookに深夜にログインし、同級生の女の子のページに行って、画面の中にもはや性欲とも言えないノスタルジーを感じているのは、一人の人間として適切な行為なのだろうか。
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社内のAPAC地域の全体集会(All handsという)で、短時間ながら僕のビデオが使用された。お題は「あなたにとって、inspiringな人は誰ですか」、というもの。画面の中の僕は、普段よりもいくぶん良い滑舌のよい日本語で、「私の尊敬する人は、サッカー選手の三浦知良選手です」と回答していた。このインタビュー、元々は英語で行われるはずだったのだが、主催者の指示により、「地域ダイバーシティを強調するために、local languageでお願いします」という方針に変更され、結果的には日本語で行われることになった。正直、「みうらかずよしせんしゅがすきです」と日本語で言うのは、英語で同じことをいうより心理的にずいぶんハードルが高い。事実、自宅でこのビデオを録画しているとき、娘は何度も腹を抱えて笑っていた。とはいいつつ、なんとかやれてしまうのは、40前男性なりのそこそこの懐の深さによるものなのかもしれない。20代のころはそれなりにスカしていたので、「バッジョが好きです」というのは言えても、「カズが好きです」というのはなかなか難しかったんじゃないかという気がする。
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僕より一足先に妻が40代という新しいステージに入り、例年のごとくちょっと瀟洒なホテルでお祝いをする。子どもたちも久しぶりのブッフェに満足している様子だった。妻とは30代にあったあれこれ――その多くはもはや思い出せなくなっているのだが――について、思い出話に花が咲く。30代は仕事と子育てで終わってしまったね、云々。まあおそらくそういうものなのだろう。ともあれ、頑張ったか否かという点であれば、彼女がどれだけ頑張ってくれていたかは僕もよくわかるし、その忙しさこそが我々なりの幸せのひとつの形だったのではないかという気がする。
最近の彼女を見ていると、美人は40になっても美人だなとしみじみ思う。惚気ているようで恐縮ではあるのだが。
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もう少し戦略論のペーパーを書いて、『ルソーと方法』を読んだら寝る。企業戦略の仕事をしながら、哲学の博士論文を読んでいる人というのは、僕も自分以外にちょっと思い当たらない。