9月のノスタルジー

COVIDの反動からだろうか、奇妙なほどに社交的な夏であった。ほぼルーティンと化していた週1、2度の食事会といくつかのエクスカーション。アルコールを伴う食事の多くは同僚の退職・転職に伴う送迎会であった。残念ながら、それらのひとつひとつについて細かく所感を述べるほどの余裕もないのだが、同世代の多くは40歳という人生の分水嶺を超えて、より自らが求めるものを純粋に追及することを始めているように見えるというのが全体を総括して感じたことだった。方法論はさまざまで、ある人は独立、またある人は社内転職、もちろん転職という道を選ぶ人もいる。一方で、いわゆるcorporate ladderを上っていこうという人はあまりいないような気がするのだが、僕の周りにたまたまそういう人が少ないのか、世代的な傾向として一般化できるものなのかはよくわからない。

 

☆☆☆

 

長女が今のクラスにいまいち馴染めていないようで、トラブルとは言えないまでもちょっとした懸念事項になっている。僕が中2くらいのころなんて、そこそこ勉強、あとは部活とギターという感じで、世界は実に単純だったけれども、都会のせいなのか、はたまた時代のせいなのか、ずいぶんと様子が異なるようである。僕の海外リロケーションにも影響する可能性がある事項なので、早いうちに解決に持っていけるとよいのだが。

 

☆☆☆

 

20年来探していた曲のリフがPhil Collinsの”Easy Lover”であることがわかって、自分でもその存在を忘れていた魚の骨が喉の奥からとれたような心持ちになっている。たしか前に聴いたのは、まだ僕がフランスにいた頃だ。たしか、Fête de la musiqueの日にどこかのバンドが路上で演奏していたものだと記憶している。まだ20歳だったあの日から20年、僕はまたあのカオスにまみれた六角形の国を目指そうとしている。自分自身、なにがそのモチベーションになっているかはよくわからないのだが、今の僕の生きる意味のひとつになっていることは確かだ。自分の深層心理のことはよくわからないのだが、もしかしたら本気で美味いパンとスキーリゾートに惹かれて、人生のハンドルを大きく切ろうとしているのかもしれない。