アップデートⅡ

気がついたら年が明けて2か月も経ってしまった。別に意図して書かなかったわけではなく、生活上の優先度が高い事項をひたすらにこなしていたら、自然とそうなってしまったというのが正直なところである。まあそれをコミットメントの欠如と言われれば、否定しようもないのだが。しかしながら、言い方を変えれば、思わず筆を執ってしまいたくなるようなめくるめく事件は、この空白の3か月には発生しなかったということもできる。無理もない、40代の一既婚者としての僕の生活は、多くの一応は幸せと言われるような家庭がそうであるように、その多くが非ドラマティックな事項の繰り返しだからである。もしかしたら、それは若い時分の自分が忌み嫌っていた、日常と大衆への埋没ということなのかもしれない。それはそれとして受け入れるべきものだと思えるようになったのは、僕も馬齢を重ねたということなのだろう。

 

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この3か月間で発生した、自分にとっての最も大きな出来事は、勤めている会社の社長の退任発表だった。動きの速い外資系ITの世界で10年以上日本法人トップを務めた人の退任ということで、この動きは業界でもそれなりの驚きをもって迎えられた。僕もお世話になった人であり、また彼の経営をサポートするのがここ3年くらいは自分の仕事の核を成していたので、これから起こる組織上・業務上の変化によって、おそらくは僕も少なくない影響を受けることになる。経験上、こういうときに焦って動くとあまりよい結果をもたらさないことが多いので、まずは落ち着いて自分に求められる役割を見極めようと思う。

 

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今月は初めて家族とフランスを訪れる予定だ。なんと僕にとっては21年ぶりの訪仏となる。不思議なものだ、この空白の期間も、僕がかつて暮らしてその土地はずっとそこに存在し続けてきたのだ――もちろん僕という存在は関係なく。月並みだけれど、当地では久しぶりの友人に会うのに加えて、学校見学などもする予定なので、なかなか楽しみである。六角形のかの国は、子どもたちの眼にどう映るのだろう。