タイフーン

三連休の真ん中の日曜日。西日本ほどではないにせよ、都内も天気が悪く、なんだか無為な一日を過ごしてしまった。何しろこういう日だと、子どもの遊びの種類が限られたものになってしまうため、彼女たちのストレスもだんだんたまってきて、その解消だけでもずいぶんとエネルギーをとられてしまう(おままごとやら、絵本読みやらに延々つきあうわけだ)。それでも、夕方に小一時間ほど時間がとれたので、なんとかジムに行く時間くらいは確保することができた。20分ほどランニングしたら、体中のもやもや感がいくぶん和らいだような気がした。

 

☆☆

 

いろいろなところで話題になっているが、WantedlyIPOがなんだかいろいろと凄まじい。上場決定→DMCA申請→当然炎上→株価暴騰(PER7,000という戦闘力的インフレ)→CEO上場会見キャンセルという意味不明な流れになっている。しかも、会見のキャンセルはCEOの「都合がつかなかったため」であるという。創業者による上場会見より重要なことなんて何があるんだよと、さすがにここは部外者でも突っ込みを入れたくなってくる。

 

かの社をめぐる議論(というか、ネガティヴな評判)はWebのいろいろなところですでに行われているのでここでは特に触れないが、個人的に気になるのが、仲CEOの顔である(だいたいどこでも人の顔ばかり見ている)。当然手腕は敏腕だろうし、まったく個人的な恨みもないのだが、どうにも彼女からは重み――一般に経営者から感じられるようなそれ――のようなものが伝わってこないのだ。まだ32歳の女性だから当たり前といえば当たり前なのだが、人の人生を預かることの重みや、人生の機微、どうにもならなさを抱え込んだことはおそらくないのだろうなと、彼女の顔を見ていると思ってしまう。そしておそらく、少なくない数の個人投資家が、僕と似たような感想を持つのではないか。

 

ともあれ、この上場にはいろいろ問題があると思うけれど、そういうものが許容されてしまう、今の新規株式公開のルール自体にいろいろ問題があるのだろうと思う。また実務の中でも証券取引というのものがどうあるべきかを僕なりに整理しておく必要がある、そんなことを考えさせられた一件である。

 

☆☆☆

 

紀尾井町シベリウスの2番を聴く。よく演奏されるレパートリーではあるけれど、オケを聴くのは初めてである。最前列のほう­で聴いていたので、フルートの音がよく聴こえて気持ちよかったのだが、残念ながら、どうにも曲の世界に入りこめなかった。第2楽章を聴いているときなんか、暖房の入らないオフィスで延々とエクセルと格闘している自分を想像してしまって疲れてしまったくらいである。それでも第3楽章終盤~第4楽章はなかなか聴かせた。あまり聴きこんだことのない曲なので、またぜひ別のオケで聴いてみたい。

 

☆☆☆

 

「結局さ、組織を大きくするために、女の視点なんか邪魔なんだよ」、学生時代の友人(女性)が言う。「細かいところが気になりすぎるから」。

 

僕はそれを聞いて何も言わない――というか何も言えない。それの是非を判断できるほどの経験を僕はまだ持っていないし、何を言っても不正解であるような気がするからだ。それでも、社会人生活が10年を超える女性が、女性一般に対してそうしたレッテルを貼ってしまっていることの意味は重い。当然ながら、フェミニズムの観点からすれば一発退場モノの言説だろう。もちろん多数決が正しいというわけではないけれど、この彼女の意見は多くの女性にとって支持されるものなのだろうか。

 

それはそうと、この彼女に「君は15年前よりずっと素敵に見える」と言ったら、なんだか照れていて可愛かった。こういう台詞を吐いてしまうのは、たぶん村上春樹を読みすぎたからだと思う。

 

☆☆☆

 

どうも今年は雨が多い。明日は晴れてくれるといいのだが。