医療テクノロジーの風景

一週間が終わった。授業が休みだったので、時間的にはそれなりに余裕があったけれど、あまりぱっとしない週だった。どうも追われていないと無駄なことばかり考えてしまっていけない。やることなんかいくらでもあるのに、それらにエネルギーを100%注げないのは人間としての弱さゆえのものなのだろうか。それとも人間はそもそもそういうものと考えて、平常運行時の生産性は最大値の70%であるという前提で動いたほうがいいのだろうか。

 

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製薬業界にいるにもかかわらず、相変わらず業界オンチが続いているのだが、そんな素人でもこれはすげえなあと思ったものが最近ふたつあったので、それらについて少し書く。

 

ひとつは、血液検査によるアルツハイマーの早期発見手法の実用化。2月初旬に各誌で報道されたもの。これが本格的に実用化されると、おそらくアルツハイマー・リスクは健康診断の必須項目になり、マイナンバーなんかに「認知症リスク高」とか記載されるようになるのだろう。差別を助長しかねない部分もあるとは思うけれど、これから高齢化がますます進んでいくことを考えると、非常に社会貢献度の高いイノベーションであると思う。

 

もうひとつは、経口インスリンの開発。この分野の横綱であるNovo Nordisk、それにLillyあたりが開発をしているようである。Webで確認する限り、Novoのほうは開発が止まってしまっているようだけれど、毎日の注射の辛さは僕も想像できるので(経験はないけれど)、ぜひ早期に実用化されてほしいもののひとつである。

                                                                                             

あとは、少し話がズレるけれど、ここ数ヶ月、ITの大手による医療分野への進出が目立ってきている(例えば、Google/Alphabetによる手術ロボット開発)。まあこれだけリスクの高い分野だと、大手じゃないと手が出せないよなあ…というのは措いておいて、これは両方の業界での経験がある僕にとっては結構なチャンスとなるような気がする。ちょうど転職活動を始めようとしている時期なので、このあたりの動きも注視していきたい。

 

それにしても、本当にテクノロジーの進歩はすさまじいものがあり、これはもうフーコーの描いた生政治の世界そのものだよなあという思いを強くしている。そうした健康に関する種々の制度を、現代人はどのように内面化しているのだろう?そういえば彼の遺作が刊行されるとのことだけれど、日本ではまた新潮社から出るのだろうか。

 

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これから1時間ほどファイナンスの勉強。金曜日なので少しリラックスしてRegina Carterを聴きながら。結局アメリカ人の作った音楽を聴いて、アメリカ人が作った分野の勉強をしている。51番目の州とはよく言ったものだなあと思う。いいか悪いかは別として。